幾万の生を迎えようと、
幾千の死を経て尚も、
彼我の狭間を越え、
辺境へと至りて、
世界を変転し、
事象を渡り、
追いつき、
喰らい、
奴を、
瞳を閉じる度に。
耳を澄ます度に。
見える神の都の最果て。
聞こえる万死の鐘の音。
それは、永遠の旅路だ。
私は目覚め、私は歩き、
私は見つけ、私は殺す。
王を殺し、妃を殺し、騎士を殺す。
何でも殺した。
何度でも殺した。
何故だろうか?
何もわからない。
ともかく、私は「そういうもの」であるらしかった。
私は幾度となく生まれ、
幾度となく死んだ。
それでも旅は終わらず、
それを殺すまで続く。
それゆえに永遠の地平線を、
私は歩み続けている。
それの名に意味はない。
それは無限によく似た形をしている。
それは用意され続ける。
私はそれを「消費」している。
私は終わりを望まない。
この旅路には「喜び」だけがある。
それを「消費」することを、
私は心から愉しんでいる。
私の名に意味はない。
私もまた、無限によく似た形をしている。
私は用意され続ける。
私は形を変え、
姿を変え、
それを目指す。
森を抜け、
海を往く。
昼を進み、
夜を駆ける。
それは永遠に連なり、
至る道は私の下に示され続ける。
[ここだよ、おいで。]
招かれるままに私は進む。
それ以外に道は開かれないことを、
私はようく知っている。
そして世界中のそれを殺し尽くしたならば、
しばし、眠る時だ。
次に目覚めた時、
私は新たな狩場にいる。
世界の末端を辿る端末。
それが私だ。
あらゆる「事象」を渡り、私は全てを攻め滅ぼす。
追いかけ、追い縋り、追いつき、殺す。
いつだってそうだ。そうすることでしか道は開かれない。
私の外殻が形成されていく、
無限回、繰り返した「始まりの鐘」が鳴る。
エンゲージ。
楽しみだ。
私は誰にも見つからないよう、
新しいカラダのくちびるをペロリと舐めた。
あなたが見ているだろうって?
いいえ。あなたに見えるのは私の背中だけ。
いつだって、
そうだったでしょう?