■ペイルライダー - 01「???」


幾万の生を迎えようと、
幾千の死を経て尚も、
彼我の狭間を越え、
辺境へと至りて、
世界を変転し、
事象を渡り、
追いつき、
喰らい、
奴を、

瞳を閉じる度に。
耳を澄ます度に。

見える神の都の最果て。
聞こえる万死の鐘の音。

それは、永遠の旅路だ。

私は目覚め、私は歩き、
私は見つけ、私は殺す。

王を殺し、妃を殺し、騎士を殺す。

何でも殺した。
何度でも殺した。
何故だろうか?
何もわからない。

ともかく、私は「そういうもの」であるらしかった。
私は幾度となく生まれ、
幾度となく死んだ。

それでも旅は終わらず、
それを殺すまで続く。
それゆえに永遠の地平線を、
私は歩み続けている。

それの名に意味はない。
それは無限によく似た形をしている。
それは用意され続ける。
私はそれを「消費」している。

私は終わりを望まない。
この旅路には「喜び」だけがある。

それを「消費」することを、
私は心から愉しんでいる。

私の名に意味はない。
私もまた、無限によく似た形をしている。
私は用意され続ける。

私は形を変え、
姿を変え、
それを目指す。

森を抜け、
海を往く。

昼を進み、
夜を駆ける。

それは永遠に連なり、
至る道は私の下に示され続ける。

[ここだよ、おいで。]

招かれるままに私は進む。
それ以外に道は開かれないことを、
私はようく知っている。

そして世界中のそれを殺し尽くしたならば、
しばし、眠る時だ。

次に目覚めた時、
私は新たな狩場にいる。

世界の末端を辿る端末。
それが私だ。

あらゆる「事象」を渡り、私は全てを攻め滅ぼす。

追いかけ、追い縋り、追いつき、殺す。
いつだってそうだ。そうすることでしか道は開かれない。

私の外殻が形成されていく、
無限回、繰り返した「始まりの鐘」が鳴る。

エンゲージ。

楽しみだ。

私は誰にも見つからないよう、
新しいカラダのくちびるをペロリと舐めた。

あなたが見ているだろうって?
いいえ。あなたに見えるのは私の背中だけ。

いつだって、
そうだったでしょう?