ここは騎士の国、エセンブルク。
これから、この国を冒険して回るみなさんのために、
かんたんな「イントロダクション」を用意しました。ここには、たくさんの騎士
らしい騎士、魅力的な貴族が多く住んでいます!
であれば、その解説が必要ですよね? 時間は限られ
ています。時計の針は止まらない。
いそいでください。
けっして振り返らぬように。
【エセンブルク】
騎士団領エセンブルク。
西方エセンと呼ばれる地方に拓かれた、騎士たちによる集合自治体である。
その起源を遡ることは中央議会の裁定により禁じられており、
彼ら自身「自分たちがエセンを開拓している理由」を知らない。
【中央議会】
エセンブルクにおける最高権力。
各自治体から選抜された指折りの騎士、貴族たちによって構成され、
各自治体の協定や、騎士の任命、騎士への叙勲、辺境探査の計画などを含めた、
あらゆる重要事項はこの議会で取り決められる。
裁定は「五軍評決」と呼ばれる形式を取り、
中央議会における決定は、決して、決して、覆ることがない。
【五軍評決】
レグラ裁定公によって定められた、中央議会における評決方法。
いくつかの対立した方針が並び立った際、各論者をリーダーとし、
エセンブルクに住む者の中から、五名の有資格者を選抜し、自らの騎士として任命する。
その上で中央議会の有権者たちから賛意を集め、自らの後ろ盾とする。
そして、より強大な「一枚岩」を造り上げた論者を「争い無し」に勝者と認め、
人的損害を発生させずに結論を出す、極めてシンプルでコンパクトな律法である。
エセンに住む全ての貴族は、自らの人生に何らかの主義を有する者たちであり、
「有権者の賛意を多く集める」ということはつまり、
その主張が「正義」と呼ぶに相応しい汎用性を有していることの証明である。
【騎士たちは何に仕えているのか?】
それは主義主張であり、王や神に仕える者は珍しい。
概念や思想、ライフスタイルに仕える者がほとんどだ。
だが、全ての騎士が「ヒトのため」に忠誠を尽くしていることは疑いようがなく、
名や形を違えているだけで、彼らの命は一様に「正しさ」に捧げられていると言って間違いない。
【辺境】
エセン領内の未探査領域の中でも、明確に「中と外」を分けられた特異領域を指す。
この領域の踏破なくして、ヒトの生存圏を広げることはできず、
増え続けるエセン領民のためにも、辺境探査は命題である。
また、辺境の内側から、ヒトにとっての災厄が能動的に現出する可能性もある。
【イントロダクト導入公】
かつて評議会に存在した公爵の一人であり、大きな騎士団と、そして発言権を有していた人物。
「23号辺境」を探査した折、「ヒブリア」と呼ばれる病原に罹患したことで「実在性」を失った。
現在はこのように無形の存在となり、書面における「概要、導入部分」の内側にのみ存在することができる。